観光客優先?地元民優先?

数日前金沢の片町周辺を歩いていた時二つのお店で長い行列ができていました。二つのお店とも金沢で有名なおでん屋さんでした。並んでいるのは明らかに県外から来た観光客の皆さんでした。このコロナ禍の中で始まったGOTOキャンペーンで金沢にはコロナ前と変わらないくらい人の流れが戻りつつあります。

 北陸新幹線金沢開業から五年が経ち、この五年間の間で金沢は急激な変化を遂げました。駅前、片町、香林坊周辺には新しいホテル、商業施設が立ち並びその変化の速さに地元民でさえついていくのがやっとです。最近はそれプラス金沢の中心街で高級マンションの建設ラッシュです。

話は戻っておでん屋さんですが、もともと金沢にとっておでんというのは名物というよりも金沢の居酒屋の定番メニューの一つでした。ですから地元の人間にとってはおでん屋さん=居酒屋という位置づけが正しいのかもしれません。地元民にとっては今行列になっているおでん屋さんも元々は地元民にとって馴染みのある居酒屋さんという位置づけだったと思います。それが北陸新幹線開業に合わせていつの間にやら金沢おでんという言葉が生まれ、やれカニ面だバイ貝と県外の観光客が押し寄せるようになったのです。

行列ができていた二つのおでん屋さんも行列が見られるようになったのは新幹線開業以降でそれ以前の10年とか15年前までは地元民の居酒屋的な位置づけで正直な話今の行列など想像出来なかったです。ですからお店の接客なり対応も地元民と観光客では対応に違いが求められ、まだ金沢はそのサービスの形が固まっていないような印象を受ける時があります。お店の方もここ数年で客層が地元民から観光客に一気に変わり、とまどいを抱えながらサービスを提供しているような状況です。その為地元民にも観光客にも何とも中途半端な対応になってしまい、クレームが出るパターンもあるかと思います。

今金沢の中心街は高級マンションの建設が進み、それまで中心街に住んでいた人たちは野々市か白山市に出て行っているような気がしてなりません。以前も書きましたが近江町市場やこの片町のおでん屋さんも地元民の買い物やコミュニティの場でした。それが新幹線開業以降一気に観光客向けにシフトした為金沢は今変化の真っ只中にいます。自分が思うにこれからの金沢の中心街は観光客と高級マンションに住む富裕層の街になりそれまで中心街に住んでいた地元民は野々市か白山市か金沢の郊外に引っ越すのではないかと思います。このコロナ禍でこの流れは加速するかもしれません。この流れに文化や伝統を金沢は重視するという考えと常に変わり続ける街の姿に正直矛盾のようなものを感じてしまうのも事実です。観光客と地元民が共存できる街を作っていかねばなりませんが昨今の状況を見ると何かどちらか一方に偏っているような気がしてなりません。観光客と地元民が共存できる街こそ相互理解が生まれ、それによってもてなしなどソフト面の充実が図れると思います。このベースがないとこのコロナ禍での感染防止と観光産業の両立は難しいと思います。

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